建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第48回(平成30年度(2018年))
問52 (空気環境の調整 問52)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第48回(平成30年度(2018年)) 問52(空気環境の調整 問52) (訂正依頼・報告はこちら)

流体力学に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 無秩序な乱れによる流体塊の混合を伴う流れを乱流という。
  • 直線ダクトの圧力損失は、ダクト長さの2乗に比例する。
  • 摩擦のない理想流体では、ベルヌーイの定理が成立する。
  • 慣性力の粘性力に対する比を表す無次元数がレイノルズ数である。
  • ダクトの形状変化に伴う圧力損失は、形状抵抗係数と風速の2乗に比例する。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は(2)です。

(1) 適当です。不規則に乱れている流体の流れを文字通り乱流と言います。

反対に、規則正しい流体の流れを層流と言います。

(2) 不適当です。正しくは「直線ダクトの圧力損失は、風速の2乗に比例する」です。

(3) 適当です。ベルヌーイの定理が成立する条件について書かれています。

(4) 適当です。レイノルズ数とは問題の記述の通り「慣性力の粘性力に対する比」なので、分数で表すと慣性力/粘性力となります。

これを見れば分かるように、レイノルズ数は分子の慣性力が大きいほど大きくなり、分母の粘性力が小さいほど大きくなります。

レイノルズ数が大きいと乱流になります。

(5) 適当です。記述の通りです。

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02

正解は「直線ダクトの圧力損失は、ダクト長さの2乗に比例する。」です。

この問題は、流体力学の法則に関するものです。

流体力学では、ダクト内の圧力損失は主に摩擦損失と形状損失に分けられます。

摩擦損失は、ダクトの長さに比例し、速度の二乗に比例します。

これは、ダルシー・ワイスバッハの式で表されます。

ΔP=f・L/D・ρv2​/2

ここで、fは摩擦係数、Lはダクト長さ、Dは直径、ρは密度、vは速度です。

この式から、圧力損失はダクト長さに 比例することが分かります。

選択肢1. 無秩序な乱れによる流体塊の混合を伴う流れを乱流という。

正しいです。流体の流れは層流と乱流に分類されます。

層流は流体が層状に滑らかに流れる状態で、速度分布が安定しています。

一方、乱流は速度や圧力が時間的・空間的に不規則に変動し、

渦や混合が発生する状態です。

乱流では、流体塊の混合が活発で、熱や物質の移動が促進されます。

乱流の発生はレイノルズ数が大きい場合に起こり、

一般的にダクト内の空気流では乱流が支配的です。

選択肢2. 直線ダクトの圧力損失は、ダクト長さの2乗に比例する。

不適当です。ダクトの摩擦損失は、ダルシー・ワイスバッハの式により、

ダクト長さに比例します。

ダクトが2倍長くなると、圧力損失も2倍になります。

速度の二乗には比例しますが、長さの二乗には比例しません。

 

選択肢3. 摩擦のない理想流体では、ベルヌーイの定理が成立する。

正しいです。ベルヌーイの定理は、摩擦損失がない理想流体において、

流線に沿って全圧(静圧+動圧+位置エネルギー)が一定であることを示しています。

現実の流体では摩擦や粘性による損失があるため、

完全には成立しませんが、近似的に使われます。

空調や配管設計では、ベルヌーイの定理を基礎にして、損失項を加えて計算します。

選択肢4. 慣性力の粘性力に対する比を表す無次元数がレイノルズ数である。

正しいです。レイノルズ数は流れの状態を判定する重要な指標で、次の式で表されます。

Re=ρvD/μ​

ここで、ρは密度、vは速度、Dは代表長さ、μは動粘度です。

レイノルズ数が小さい場合は粘性力が支配的で層流、

大きい場合は慣性力が支配的で乱流になります。

ダクト内の空気流では、通常レイノルズ数が数千以上で乱流となります。

選択肢5. ダクトの形状変化に伴う圧力損失は、形状抵抗係数と風速の2乗に比例する。

この記述は正しいです。形状損失は、ダクトの曲がり、分岐、絞りなどで発生し、

次の式で表されます。

ΔP=ζ・ρv2/2

ここで、ζは形状抵抗係数です。風速が大きいほど損失は急増し、

速度の二乗に比例します。

 

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