建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第48回(平成30年度(2018年))
問167 (ねずみ、昆虫等の防除 問167)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第48回(平成30年度(2018年)) 問167(ねずみ、昆虫等の防除 問167) (訂正依頼・報告はこちら)

蚊の防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 昆虫成長制御剤(IGR)は、幼虫や蛹に対する速効的な致死効果が認められない。
  • 浄化槽の殺虫剤処理後も成虫の発生数が減少しない場合は、薬剤抵抗性の発達を考慮する必要がある。
  • 排水槽内に設置した粘着トラップで捕獲した蚊の数では、槽内の成虫密度を評価できない。
  • 樹脂蒸散剤は、密閉性が保たれている空間では、1〜3カ月間の効果が期待できる。
  • 乳剤に含まれる界面活性剤や有機溶剤は、浄化槽内の浄化微生物に影響を及ぼす可能性がある。

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この過去問の解説 (2件)

01

最も不適当な記述は、「排水槽内に設置した粘着トラップで捕獲した蚊の数では、槽内の成虫密度を評価できない」です。

選択肢1. 昆虫成長制御剤(IGR)は、幼虫や蛹に対する速効的な致死効果が認められない。

この記述は正しいです。IGRは、昆虫の成長を妨げることで防除効果を発揮する薬剤であり、速効的な致死効果はありませんが、成長過程で繁殖を抑えることが目的です。

選択肢2. 浄化槽の殺虫剤処理後も成虫の発生数が減少しない場合は、薬剤抵抗性の発達を考慮する必要がある。

この記述は正しいです。薬剤処理を行っても成虫が減少しない場合、薬剤に対する抵抗性が発達している可能性を検討する必要があります。

選択肢3. 排水槽内に設置した粘着トラップで捕獲した蚊の数では、槽内の成虫密度を評価できない。

この記述は誤りです。粘着トラップで捕獲された蚊の数は、槽内の成虫密度をある程度評価するための有用な指標となります。

選択肢4. 樹脂蒸散剤は、密閉性が保たれている空間では、1〜3カ月間の効果が期待できる。

この記述は正しいです。樹脂蒸散剤は、密閉された空間内で蒸散して効果を発揮し、1〜3カ月程度の持続効果があります。

選択肢5. 乳剤に含まれる界面活性剤や有機溶剤は、浄化槽内の浄化微生物に影響を及ぼす可能性がある。

この記述は正しいです。乳剤に含まれる化学成分が、浄化槽内の微生物に悪影響を与える場合があるため、注意が必要です。

まとめ

粘着トラップは、成虫密度を評価する手段として活用可能です。この記述は不適切であり、他の選択肢は正しい内容です。

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02

本問は、蚊の防除において「どの発生段階を対象にするのか」「どの薬剤をどの環境で使用するのか」「効果判定をどのように行うのか」という、実務上の基本的な考え方を問う問題です。単に薬剤の名称や性質を暗記しているかではなく、幼虫対策と成虫対策の違い、薬剤の作用特性(速効性か遅効性か)、薬剤抵抗性への配慮、さらに浄化槽など特殊な環境における安全性や調査方法の妥当性を正しく理解しているかがポイントになります。防除は「薬をまけばよい」という単純なものではなく、発生源管理、効果判定、環境影響の評価まで含めた総合的な管理であることを踏まえて判断することが求められます。

選択肢1. 昆虫成長制御剤(IGR)は、幼虫や蛹に対する速効的な致死効果が認められない。

適切です。IGRは、神経系を直接まひさせてすぐに倒すタイプではなく、幼虫が正常に成長できないようにする薬剤です。そのため、処理直後に幼虫や蛹が一斉に死ぬような速効性は期待しにくく、時間の経過とともに羽化阻害などを通じて成虫の発生を減らしていく「遅効性」の性格を持ちます。

選択肢2. 浄化槽の殺虫剤処理後も成虫の発生数が減少しない場合は、薬剤抵抗性の発達を考慮する必要がある。

適切です。同じ系統の殺虫剤を繰り返し使うと、集団の中にいた効きにくい個体が生き残って増え、抵抗性が発達することがあります。殺虫剤処理を行っても成虫数が減らない場合は、抵抗性の可能性に加えて、そもそも発生源が浄化槽以外に残っている、薬剤が十分に行き渡っていない、処理頻度や方法が適切でないなども考えられますが、薬剤抵抗性も疑う、という視点は重要です。

選択肢3. 排水槽内に設置した粘着トラップで捕獲した蚊の数では、槽内の成虫密度を評価できない。

不適切です。粘着トラップの捕獲数は、確かに完全に正確な密度をそのまま示すものではありません。捕獲効率は設置場所、空気の流れ、蚊の活動性、トラップの大きさや設置高さなどに左右されるためです。
しかし、条件をそろえて定期的に設置すれば、捕獲数は「成虫の多い・少ない」や「増減の傾向」を把握する指標として利用できます。実際に粘着トラップは、成虫の発生状況や発生消長をつかむ調査手法として用いられます。したがって、「評価できない」と断定するのは不適当であり、「指標として評価に使える」が正しい整理です。

選択肢4. 樹脂蒸散剤は、密閉性が保たれている空間では、1〜3カ月間の効果が期待できる。

適切です。樹脂蒸散剤は、有効成分を含む樹脂から成分が少しずつ揮散し、空間全体に作用させるタイプの薬剤です。密閉性が高いほど有効成分が空間内に保たれやすく、効果が安定しやすいという性質があります。逆に、換気が強い環境では成分が希釈・排出されやすく、効果が落ちやすくなります。なお、蒸散型製剤は使用環境によって室内濃度が変動し得るため、表示された用法・用量や使用上の注意を守ることが前提になります。

選択肢5. 乳剤に含まれる界面活性剤や有機溶剤は、浄化槽内の浄化微生物に影響を及ぼす可能性がある。

適切です。乳剤は、水に混ざりにくい有効成分を散布しやすくするために、界面活性剤や有機溶剤などを含むことがあります。浄化槽は微生物の働きで汚水を処理しているため、これらの添加成分が微生物にとって負担になる可能性があります。特に、浄化槽内では薬剤が水中に入ることになるため、殺虫成分そのものだけでなく、製剤中の溶剤・界面活性剤の影響も含めて、安全性や適用の可否、使用量・使用方法に注意して選定する必要があります。

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