建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第54回(令和6年度(2024年))
問81 (空気環境の調整 問36)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第54回(令和6年度(2024年)) 問81(空気環境の調整 問36) (訂正依頼・報告はこちら)

空気調和・換気設備に関する維持管理上の問題と考えられる原因との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
  • 全熱交換器からの外気量不足 ――― 熱交換エレメントの目詰まり
  • 冷却塔でのレジオネラ属菌増殖 ――― 冷却水の過剰な濃縮
  • 室内空気質の低下 ――― ダクト内部の汚れ
  • 冬期暖房時の室内相対湿度の低下 ――― 取入外気量過少
  • 夏期冷房時の室内温度の上昇 ――― ダンパ開度不足による送風量過少

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この過去問の解説 (2件)

01

空気調和・換気設備の維持管理上の問題によるその組み合わせを問う問題です。

文章の内容を頭の中でイメージできるようになれば分かりやすいと思います。

選択肢1. 全熱交換器からの外気量不足 ――― 熱交換エレメントの目詰まり

正:全熱交換器からの外気量不足は、熱交換エレメントの目詰まりから起こることです。

エレメントが詰まれば当然そこを通る外気も不足することは想像しやすいと思います。

選択肢2. 冷却塔でのレジオネラ属菌増殖 ――― 冷却水の過剰な濃縮

正:冷却塔でのレジオネラ属菌増殖は、冷却水の過剰な濃縮からくることです。

レジオネラ属菌は、55℃以上で死滅します。

冷却塔なのでその温度にすることはできませんが、冷却水を濃縮しないようにして防ぎましょう。

選択肢3. 室内空気質の低下 ――― ダクト内部の汚れ

正:室内空気質の低下は、ダクト内部の汚れから起きます。

空気の通り道であるダクトが汚れていれば、空気質も下がります。

選択肢4. 冬期暖房時の室内相対湿度の低下 ――― 取入外気量過少

誤:冬季の暖房時の室内相対湿度の低下は、取入外気量減少では起きません。

湿度は、空気中の水分量なので乾燥している冬季の空気を取り入れると湿度は下がります。

したがって、取入外気量減少では湿度が上がります。

選択肢5. 夏期冷房時の室内温度の上昇 ――― ダンパ開度不足による送風量過少

正:夏季の冷房時の室内温度上昇は、ダンパ開度不足による送風量減少で起きます。

空気の通り道であるダンパが開き足りないと送風量が減少して室内温度は上がります。

まとめ

冷暖房やその付属品であるダンパやダクト、それらを発する熱から守る冷却水の熱を外気へ逃がす冷却塔の問題でした。

それぞれの役割を整理してその他の問題にも対応できるようにしましょう。

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02

正解は、「冬期暖房時の室内相対湿度の低下 ― 取入外気量過少」です。

 

この問題は、空気調和・換気設備の維持管理に関するものです。

空気調和・換気設備の維持管理では、

風量・熱交換・水質管理・清掃・制御の各要素が密接に関連します。

全熱交換器の外気量はエレメントの目詰まりで低下しやすく、

定期清掃・フィルタ前置が不可欠です。

冷却塔のレジオネラ属菌増殖は水温・栄養塩・スライム・堆積汚泥に加えて、

過剰濃縮による溶解固形分上昇がスケール・スライム発生を助長しリスクを高めます。

室内空気質はダクト内部の汚れで微粒子・臭気の再飛散が起こり得ます。

夏期の室温上昇は送風量不足で顕在化します。

一方、冬期は外気が低温・低絶対湿度であるため、

取入外気量が過少だと、

室内湿度はむしろ下がりにくいです。

選択肢1. 全熱交換器からの外気量不足 ――― 熱交換エレメントの目詰まり

正しいです。全熱交換器の外気側・排気側ともに、

熱交換エレメントの目詰まりは圧力損失増大を招き、換気風量を低下させます。

エレメントの微細流路に粉塵・繊維状ゴミ・湿気由来の付着物が蓄積すると、

ファン同一回転数でも風量が落ち、機外静圧が上昇します。

差圧が増すと設計風量が維持できず、

外気導入不足→二酸化炭素上昇・臭気滞留・湿度偏りにつながります。

選択肢2. 冷却塔でのレジオネラ属菌増殖 ――― 冷却水の過剰な濃縮

正しいです。過剰濃縮は溶解固形分・栄養塩濃度の上昇、

スケール・スライム形成促進、バイオフィルム厚み増加を招き、

レジオネラの住処を形成します。

ブローダウン不足で濃縮倍率が過大になると、

カルシウムスケールがフィルム充填材や受水パンに堆積し、

微生物の付着・繁殖が進みます。

選択肢3. 室内空気質の低下 ――― ダクト内部の汚れ

正しいです。ダクト内部の粉塵・バイオフィルム・油性汚染は、

再飛散粒子・臭気・微生物の源となり、IAQを劣化させます。

低風速区間やエルボ・分岐部に堆積した微細粉塵が風量変動時に剥離・再浮遊し、

PM濃度上昇、においの滞留、表面微生物の増殖を招きます。

保温材の破断部や結露部位でカビが繁殖しやすく、VOC吸着・再放散もあり得ます。

選択肢4. 冬期暖房時の室内相対湿度の低下 ――― 取入外気量過少

不適当です。 冬季の外気は低温・低湿度です。

大量に取り入れるほど、

加熱後の相対湿度は低下しやすくなります。 

取入外気量が過少の場合、

屋内発生水分(人の発汗・呼気、給湯・加湿、室内発生源)により、

相対湿度は上昇しやすいです。

室内湿度低下の主因は、外気量過多、加湿能力不足、

漏気・過換気、熱交換器の加湿機能不足などです。

選択肢5. 夏期冷房時の室内温度の上昇 ――― ダンパ開度不足による送風量過少

正しいです。送風量不足はコイル熱交換の伝熱不足、室内循環不良、吹出温度の偏りを招き、

室温が設定に到達しにくくなります。

ダンパ開度不足で静圧が上がり系統風量が低下すると、

コイル側では風速低下により総合熱伝達係数が下がり、

同じ冷水温度でも顕熱除去が不足します。

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