建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第54回(令和6年度(2024年))
問83 (空気環境の調整 問38)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第54回(令和6年度(2024年)) 問83(空気環境の調整 問38) (訂正依頼・報告はこちら)

音と振動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 対象振動が正弦波の場合、振動加速度の実効値は、加速度の最大振幅の1/2で求められる。
  • 遮音とは、壁などで音を遮断して透過する音のエネルギーを小さくすることである。
  • 測定対象音が暗騒音より10dB以上大きい場合には、測定値は対象騒音であると判断できる。
  • コインシデンス効果が生じると、壁体の透過損失は減少する。
  • 人体に対する振動を扱う場合は、振幅と同時に振動の方向を明確にしなければならない。

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この過去問の解説 (2件)

01

音と振動に関する問題です。

身近なことですが、専門的なことを聞かれている為、これを機会に整理しましょう。

選択肢1. 対象振動が正弦波の場合、振動加速度の実効値は、加速度の最大振幅の1/2で求められる。

誤:振動加速度の測定は、ヒトの感覚のために測定できません。

したがって、最もヒトの感覚と対応が良い振動時の加速度を測定しています。

選択肢2. 遮音とは、壁などで音を遮断して透過する音のエネルギーを小さくすることである。

正:遮音とは、壁等で音を遮断することで透過する音エネルギーを小さくします。

選択肢3. 測定対象音が暗騒音より10dB以上大きい場合には、測定値は対象騒音であると判断できる。

正:測定対象音が会話と騒音(暗騒音)のレベル差が10㏈以上であれば、測定時に対象騒音だと判断しています。

選択肢4. コインシデンス効果が生じると、壁体の透過損失は減少する。

正:コインシデンス効果は、一般に壁体が薄いと高い周波数,厚いと低い周波数となります。

選択肢5. 人体に対する振動を扱う場合は、振幅と同時に振動の方向を明確にしなければならない。

正:人体に対する振動を扱う場合、振幅と振動の方向を明確にしなければ正確に測定できません。

まとめ

音と振動に関する問題でした。

最も身近な公害ですが、だからこそ知らないこともありましたのでまとめておきましょう。

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02

正解は、「対象振動が正弦波の場合、振動加速度の実効値は、

加速度の最大振幅の1/2で求められる。」です。

 

この問題は、音と振動に関するものです。

建築物の快適性や健康性を確保するためには、

騒音や振動の正しい理解と測定・評価が不可欠です。

遮音の定義、暗騒音との差による騒音判定、コインシデンス効果による透過損失低下、

人体振動評価における方向性の重要性など、いずれも重要です。

正弦波の実効値は最大値の1/√2であり、1/2ではありませんので注意しましょう。

選択肢1. 対象振動が正弦波の場合、振動加速度の実効値は、加速度の最大振幅の1/2で求められる。

不適当です。正弦波の実効値(RMS値)は最大値の1/√2で表されます。

これは交流電気や振動解析で共通しており、

振動加速度の実効値は人体影響や機械設備の診断に用いられる重要な指標です。

振動規制法やISO規格に基づく評価では正しい実効値を用いる必要があります。

選択肢2. 遮音とは、壁などで音を遮断して透過する音のエネルギーを小さくすることである。

正しいです。遮音は建築物の音環境を整えるための基本概念であり、

壁や床などの構造体によって音の透過を防ぐことを指します。

遮音性能は透過損失で評価され、

数値が大きいほど音を遮断する能力が高いことを意味します。

遮音は居住者の快適性確保やプライバシー保護に不可欠であり、

建築基準法や環境基準でも重要視されています。

選択肢3. 測定対象音が暗騒音より10dB以上大きい場合には、測定値は対象騒音であると判断できる。

正しいです。騒音測定では、対象音と暗騒音の差が十分に大きい場合、

測定値を対象音とみなすことができます。

一般的に10dB以上の差があれば暗騒音の影響は無視できるとされます。

これは騒音評価の実務で広く用いられる基準であり、

環境基準や建築物衛生管理においても妥当です。

選択肢4. コインシデンス効果が生じると、壁体の透過損失は減少する。

正しいです。コインシデンス効果とは、壁体に入射する音波の波長と壁体の固有振動特性が、

一致することで透過損失が急激に低下する現象です。

特定の周波数帯で遮音性能が悪化し、音が透過しやすくなるため、

建築音響設計では重要な考慮点となります。

特に軽量壁や石膏ボード壁で顕著に見られます。

選択肢5. 人体に対する振動を扱う場合は、振幅と同時に振動の方向を明確にしなければならない。

正しいです。人体に対する振動評価では、振幅だけでなく方向性が重要です。

上下方向、前後方向、左右方向で人体への影響が異なるため、

ISO規格や振動規制法でも方向を区別して評価することが求められています。

例えば、上下方向の振動は内臓や頭部に強い影響を与える一方、

水平振動は平衡感覚や作業効率に影響します。

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