建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第55回(令和7年度(2025年))
問43 (建築物の環境衛生 問23)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第55回(令和7年度(2025年)) 問43(建築物の環境衛生 問23) (訂正依頼・報告はこちら)

クリプトスポリジウム症に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
  • 病原体は、細菌である。
  • 病原体は、ヒトや哺乳動物の消化管で増殖する。
  • 病原体は、水道水の塩素消毒で死滅する。
  • 水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針では、レベル1が最もリスクが高い。
  • 下痢症状は、一般的に1〜2日で消失する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、クリプトスポリジウム症の病原体の性質、消毒への抵抗性、水道分野でのリスク評価、そして症状の特徴について正しく理解しているかを問うものです。クリプトスポリジウムは、水系感染症の原因として重要な原虫であり、とくに集団感染や水道管理の観点から頻出です。病原体の分類だけでなく、どこで増殖するのか、通常の塩素消毒が有効かどうかまで押さえておくことが大切です。

選択肢1. 病原体は、細菌である。

不適切です。クリプトスポリジウムは細菌ではなく、原虫に分類される微生物です。細菌は単細胞の原核生物ですが、クリプトスポリジウムはそれとは異なる性質をもつ寄生性の原虫です。そのため、細菌性感染症と同じ感覚で理解すると誤りやすいです。下痢を起こす感染症という点では似ていますが、病原体の種類が違えば、増殖の仕組みや消毒への強さ、検査や対策の考え方も変わってきます。この違いを区別して覚えることが重要です。

選択肢2. 病原体は、ヒトや哺乳動物の消化管で増殖する。

適切です。クリプトスポリジウムは、ヒトや哺乳動物の消化管に寄生して増殖する病原体です。感染すると小腸を中心に増殖し、下痢、腹痛、吐き気などの消化器症状を引き起こします。つまり、この病気は水の中で増殖するのではなく、宿主である人や動物の体内で増殖することがポイントです。水は主に感染経路として問題になります。汚染された水や食品を介して体内に入り、消化管で増えるという流れを理解すると、選択肢の正誤判断がしやすくなります。

選択肢3. 病原体は、水道水の塩素消毒で死滅する。

不適切です。クリプトスポリジウムは、通常の水道水で行われる塩素消毒に対して強い抵抗性を示します。そのため、一般的な残留塩素の管理だけでは十分な対策にならないことがあります。ここが細菌や一部のウイルスと大きく異なる点です。水道における対策では、塩素消毒だけに頼るのではなく、ろ過による除去が非常に重要になります。試験では「塩素に強い」という性質が頻繁に問われるため、基本事項として確実に押さえておくべきです。

選択肢4. 水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針では、レベル1が最もリスクが高い。

不適切です。対策指針におけるレベル分けは、数字が大きくなるほど汚染の可能性や必要な対策の程度が高くなる考え方です。したがって、レベル1が最もリスクが高いという記述は誤りです。こうした分類は、原水の状況や周辺の汚染源の有無などを踏まえて、水道施設がどの程度の対策を講じるべきか判断するために使われます。数字の大小が危険度と逆転していないかは、試験でひっかけになりやすいので注意が必要です。

選択肢5. 下痢症状は、一般的に1〜2日で消失する。

不適切です。クリプトスポリジウム症では、水様性の下痢が数日から1週間以上続くことがあり、1~2日で自然に消失するとは一般的にいえません。特に免疫力が低下している人では、症状が長引いたり重くなったりすることもあります。したがって、この選択肢は病気の経過を軽く見すぎた内容です。単なる一過性の胃腸炎と同じように考えるのではなく、持続する下痢を起こしうる水系感染症として理解することが大切です。

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02

正解は、「病原体は、ヒトや哺乳動物の消化管で増殖する。」です。 

この問題は、クリプトスポリジウム症の特徴に関するものです。

クリプトスポリジウム症は、原虫によって引き起こされる水系感染症で、

汚染された飲料水やプール水を介して感染する寄生生物です。

病原体はオーシストという耐久性の高い形で環境中に存在し、

特に塩素消毒に強いことが特徴です。通常の水道水レベルの塩素濃度では死滅せず、

ろ過や紫外線消毒が重要な対策となります。

感染すると水様性下痢、腹痛、発熱などが数日〜1週間以上続くことがあり、

免疫不全者では重症化することもあります。また、

水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針では、

リスクレベルは、レベル1が最も低く、レベル3が最も高いです。

選択肢1. 病原体は、細菌である。

誤りです。

クリプトスポリジウムは「細菌」ではなく、原虫に分類される寄生生物です。

細菌は原核生物であり、細胞構造や増殖様式が全く異なります。

クリプトスポリジウムは真核生物であり、

宿主の小腸上皮細胞内で生活環を持ちます。

 

選択肢2. 病原体は、ヒトや哺乳動物の消化管で増殖する。

正しいです。

クリプトスポリジウムは、ヒトや牛などの哺乳動物の小腸上皮細胞内で増殖します。

感染すると、宿主の腸管上皮に寄生し、細胞内で無性・有性生殖を行い、

最終的にオーシストが糞便中に排泄されます。

このオーシストが水源を汚染し、飲料水を介して新たな感染が広がるという、

水系感染症のパターンを示します。

選択肢3. 病原体は、水道水の塩素消毒で死滅する。

誤りです。

クリプトスポリジウムのオーシストは塩素に非常に強く、

通常の水道水レベルの塩素濃度(1mg/L前後)では死滅しません。

過去の大規模集団感染でも、塩素消毒が効かなかったことが原因でした。

対策としては、膜ろ過、急速ろ過、紫外線消毒などが有効です。

選択肢4. 水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針では、レベル1が最もリスクが高い。

誤りです。

水道のクリプトスポリジウム対策指針では、リスクレベルは

レベル1:最も低いリスク

レベル2:中程度のリスク

レベル3:最も高いリスク 

と定義されています。

レベル3では高度処理(膜ろ過など)が必須となります。

選択肢5. 下痢症状は、一般的に1〜2日で消失する。

誤りです。

クリプトスポリジウム症の下痢は、通常1〜2日で治まりません。

一般的には 数日〜1週間以上 続き、免疫不全者では数週間に及ぶこともあります。

水様性下痢が特徴で、脱水症状を起こしやすいため注意が必要です。

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