建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第55回(令和7年度(2025年))
問67 (空気環境の調整 問22)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第55回(令和7年度(2025年)) 問67(空気環境の調整 問22) (訂正依頼・報告はこちら)

蓄熱システムに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 一般的には、夏期冷房最盛期よりも、冬期暖房最盛期における電力負荷平準化効果が大きい。
  • 躯(く)体蓄熱システムは、氷蓄熱システムに比べて熱損失が大きい。
  • 蓄熱システムの採用により、熱源装置の容量を削減できる効果がある。
  • 潜熱利用蓄熱材としては、氷・無機水和塩類等が利用されている。
  • 顯熱利用蓄熱材としては、水・土壌・RC躯体等が利用されている。

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この過去問の解説 (3件)

01

最も不適当なものは「一般的には、夏期冷房最盛期よりも、
冬期暖房最盛期における電力負荷平準化効果が大きい」です。

選択肢1. 一般的には、夏期冷房最盛期よりも、冬期暖房最盛期における電力負荷平準化効果が大きい。

誤りです。
夏の方が1日の温度差が大きいため電力負荷の変動が激しくなります。
冬は1日を通して気温が低いことが多いため電力負荷の変動が少ないです。
そのため夏期冷房最盛期の方が電力負荷平準化の効果が大きくなります。

選択肢2. 躯(く)体蓄熱システムは、氷蓄熱システムに比べて熱損失が大きい。

正しいです。
躯体蓄熱システムは外気などにより熱が逃げやすいため熱損失が大きくなります。

選択肢3. 蓄熱システムの採用により、熱源装置の容量を削減できる効果がある。

正しいです。
蓄熱システムにより負荷の少ない時間に蓄熱した熱を負荷の高い時間に
充てることで熱源装置の容量が小さくても必要温度を作ることができます。

選択肢4. 潜熱利用蓄熱材としては、氷・無機水和塩類等が利用されている。

正しいです。
氷などの状態変化が伴うものは潜熱利用蓄熱材となります。

選択肢5. 顯熱利用蓄熱材としては、水・土壌・RC躯体等が利用されている。

正しいです。
水などの状態変化が伴わないものは顕熱利用蓄熱材となります。

まとめ

蓄熱システムの種類とメリットを覚えておきましょう。

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02

正解は、「一般的には、夏期冷房最盛期よりも、冬期暖房最盛期における電力負荷平準化効果が大きい。」です。

この問題は、蓄熱システムの特徴に関するものです。

日本のオフィスビルでは、電力需要のピークは一般に夏期の冷房最盛期に集中し、

昼間の冷房負荷が非常に大きくなるため、

蓄熱システムはこの夏期ピークを夜間に移す目的で導入されることが多く、

電力負荷平準化効果も夏期の方が大きく現れます。

冬期暖房でも蓄熱は可能ですが、暖房負荷は比較的安定しており、

夏のように昼間だけ突出したピークが生じにくいため、平準化効果は夏期ほど顕著ではありません。

また、蓄熱システムには熱源装置の容量削減や契約電力の低減、

さらには潜熱蓄熱材や顕熱蓄熱材の選択による設計の自由度など、多くの利点があります。

氷蓄熱のように潜熱を利用する方式は高密度蓄熱が可能で、

躯体蓄熱のように建物自体を蓄熱材とする方式は設備スペースを抑えられます。

選択肢1. 一般的には、夏期冷房最盛期よりも、冬期暖房最盛期における電力負荷平準化効果が大きい。

不適当です。

蓄熱システムが最も効果を発揮するのは、電力需要が大きく変動し、

特に昼間のピークが突出する夏期冷房最盛期です。

オフィスビルでは、冷房負荷に加えて照明やOA機器の稼働が重なるため、

夏の日中は電力需要が急激に高まります。

このピークを夜間に移すことで、電力負荷の平準化ができます。

一方、冬期暖房は、朝から夕方まで比較的安定した負荷が続くことが多く、

夏のように昼間だけ突出したピークが生じにくいため、

蓄熱による平準化効果は夏期ほど大きくありません。

選択肢2. 躯(く)体蓄熱システムは、氷蓄熱システムに比べて熱損失が大きい。

正しいです。

躯体蓄熱システムは、建物のコンクリート躯体に冷熱や温熱を蓄える顕熱蓄熱方式であり、

夜間に床スラブや梁を冷却し、昼間にその蓄えた冷熱を放出させることで空調負荷を軽減します。

しかし、建物の躯体は蓄熱専用に設計された蓄熱槽とは異なり、断熱性が高いわけではなく、

蓄えた熱が周囲に逃げやすいです。

そのため、氷蓄熱のように潜熱を利用し、

断熱性の高い蓄熱槽内で効率よく蓄熱できる方式と比べると、

躯体蓄熱はどうしても熱損失が大きくなります。

 

選択肢3. 蓄熱システムの採用により、熱源装置の容量を削減できる効果がある。

正しいです。

蓄熱システムを導入すると、熱源装置が一度に処理しなければならない最大負荷を減らすことができるため、

熱源装置の容量を削減できるという効果があります。

非蓄熱システムでは、昼間の最大冷房負荷に合わせて冷凍機やヒートポンプの容量を決定しますが、

蓄熱システムでは夜間にも熱源機を運転して冷熱を蓄えるため、

昼間のピーク時には蓄熱分を利用して負荷を分散できます。

その結果、熱源機の定格容量を小さくでき、設備スペースや初期投資の削減にもつながります。

選択肢4. 潜熱利用蓄熱材としては、氷・無機水和塩類等が利用されている。

正しいです。

潜熱蓄熱材とは、物質が相変化する際に出入りする潜熱を利用して蓄熱する材料のことで、

氷や無機水和塩類が代表的です。

氷蓄熱では、水が氷になる際の融解潜熱を利用するため、

比較的狭い温度範囲で大量の熱を蓄えることができ、高密度蓄熱が可能です。

また、無機水和塩類は、特定の温度で相変化するように調整された材料で、

用途に応じて適切な相変化温度を選べるため、蓄熱システムの設計自由度が高まります。

選択肢5. 顯熱利用蓄熱材としては、水・土壌・RC躯体等が利用されている。

正しいです。

顕熱蓄熱材とは、物質自体の温度変化によって熱を蓄える材料であり、

水や土壌、鉄筋コンクリート(RC)躯体などが代表的です。

水は比熱が大きく扱いやすいため、冷水蓄熱槽として広く利用されています。

また、地中の土壌を利用する地中蓄熱や、

建物の床スラブや梁を利用する躯体蓄熱も顕熱蓄熱の一種であり、

建物そのものを蓄熱材として活用できる点が特徴です。

参考になった数1

03

蓄熱システムは、冷房や暖房に必要な熱を、電力需要の少ない時間帯などにあらかじめ蓄えておき、需要が大きくなる時間帯に利用する方式です。電力負荷の平準化や熱源装置容量の削減などが期待できます。蓄熱方法には、物質の温度変化を利用する顕熱蓄熱と、氷の融解・凝固などの相変化を利用する潜熱蓄熱があります。

選択肢1. 一般的には、夏期冷房最盛期よりも、冬期暖房最盛期における電力負荷平準化効果が大きい。

不適切です。一般的には、冬期暖房最盛期よりも夏期冷房最盛期のほうが、蓄熱による電力負荷平準化の効果が大きくなります。夏期には日中の冷房需要が増大し、建物全体の電力需要も大きくなりやすいためです。夜間などに冷熱を蓄え、昼間に利用すれば、冷凍機などの昼間の運転を抑えてピーク電力を低減できます。したがって、夏期より冬期のほうが平準化効果が大きいとする記述は逆です。

選択肢2. 躯(く)体蓄熱システムは、氷蓄熱システムに比べて熱損失が大きい。

適切です。躯体蓄熱システムは、床スラブなどのRC躯体そのものを蓄熱体として利用する方式です。専用の蓄熱槽に熱を集中して蓄える氷蓄熱とは異なり、建築物の広い範囲に熱を蓄えるため、周囲への熱の移動を完全に抑えることが難しく、熱損失が比較的大きくなります。一方、氷蓄熱は断熱された蓄熱槽内に冷熱を高密度で蓄えられるため、必要な冷熱を比較的効率よく保持できます。

選択肢3. 蓄熱システムの採用により、熱源装置の容量を削減できる効果がある。

適切です。蓄熱システムでは、空調負荷が小さい時間帯に熱源装置を運転して冷熱や温熱を蓄え、負荷が大きくなる時間帯には蓄えていた熱を利用できます。このため、最大の空調負荷をすべて熱源装置だけで処理する必要がなくなります。熱源装置が負担するピーク時の負荷を小さくできるので、冷凍機などの必要容量を削減でき、設備容量の適正化にもつながります。

選択肢4. 潜熱利用蓄熱材としては、氷・無機水和塩類等が利用されている。

適切です。潜熱蓄熱は、物質が固体から液体へ融解したり、液体から固体へ凝固したりするときに出入りする潜熱を利用する方法です。代表的なものが水と氷の相変化を利用する氷蓄熱です。また、無機水和塩類などの相変化材料も潜熱蓄熱材として利用されます。潜熱は物質の温度を大きく変化させなくても多くの熱を蓄えられるため、比較的小さな容量で多くの熱を蓄えることが可能です。

選択肢5. 顯熱利用蓄熱材としては、水・土壌・RC躯体等が利用されている。

適切です。顕熱蓄熱は、物質の温度が上昇または低下するときに蓄えられる熱を利用する方式です。水は比熱が大きく、多くの熱を蓄えられるため、水蓄熱槽などに広く利用されています。また、土壌を利用する方式や、コンクリート製の床スラブなどのRC躯体に熱を蓄える躯体蓄熱も顕熱蓄熱に該当します。物質の相変化ではなく、主として温度変化を利用していることが特徴です。

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