建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第55回(令和7年度(2025年))
問174 (ねずみ、昆虫等の防除 問9)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第55回(令和7年度(2025年)) 問174(ねずみ、昆虫等の防除 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

殺虫剤・忌避剤の種類と衛生害虫への効力の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
  • 有機リン剤        ――― ノックダウンした害虫は蘇生しにくい。
  • ピレスロイド剤      ――― 直撃した時の速効性が高い。
  • 昆虫成長制御剤(IGR剤) ――― 幼虫にも成虫にも効力を発揮する。
  • プロフラニリド      ――― 殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効である。
  • ディート         ――― 処理面への接触を忌避させることで、吸血を防ぐ。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、衛生害虫防除で使われる代表的な薬剤や忌避剤について、それぞれの作用の特徴を正しく理解しているかを問うものです。単に名称を覚えるだけでなく、どの薬剤が速効性に優れるのか、どの薬剤が成長段階に作用するのか、また忌避剤がどのように吸血被害を防ぐのかを区別して押さえることが重要です。特にIGR剤は通常の殺虫剤と作用のしかたが大きく異なるため、そこが重要な見分けどころです。

選択肢1. 有機リン剤        ――― ノックダウンした害虫は蘇生しにくい。

適切です。その理由は、有機リン剤は昆虫の神経伝達に関わるアセチルコリンエステラーゼという酵素の働きを阻害し、神経を過度に興奮させて死に至らせる薬剤だからです。ピレスロイド剤のように一時的にひっくり返るだけで後に回復する場合と比べると、有機リン剤でノックダウンした害虫は蘇生しにくい傾向があります。つまり、見かけ上の速効性だけでなく、致死性が比較的確実であることが特徴です。

選択肢2. ピレスロイド剤      ――― 直撃した時の速効性が高い。

適切です。その理由は、ピレスロイド剤は昆虫の神経にすばやく作用し、いわゆるノックダウン効果を強く示す薬剤だからです。薬剤が害虫に直接かかった場合、短時間で動けなくなることが多く、ハエや蚊、ゴキブリなどの成虫対策でも広く用いられています。ただし、素早く倒れても必ずしもそのまま死亡するとは限らず、種類や薬量によっては蘇生することもあります。この点が有機リン剤との違いです。

選択肢3. 昆虫成長制御剤(IGR剤) ――― 幼虫にも成虫にも効力を発揮する。

不適切です。その理由は、IGR剤は昆虫の脱皮や変態、羽化などの成長過程を乱す薬剤であり、主として幼虫期や卵から幼虫への発育段階に作用するものだからです。一般的な殺虫剤のように、成虫を直ちに殺す速効的な作用は通常期待できません。たとえば、幼虫が正常に脱皮できなくなったり、蛹から成虫になれなくなったりして個体数を減らします。したがって、幼虫にも成虫にも同じように効くという説明は誤りです。

選択肢4. プロフラニリド      ――― 殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効である。

適切です。その理由は、ブロフラニリドは比較的新しい系統の殺虫成分で、従来の薬剤とは異なる作用機序を持つため、既存薬剤に抵抗性を示す害虫にも効果が期待されるからです。トコジラミはピレスロイド剤などに抵抗性を持つ個体群が問題になっていますが、ブロフラニリドはそのような抵抗性トコジラミにも有効性が報告されています。防除現場では、抵抗性対策の選択肢として重要な薬剤です。

選択肢5. ディート         ――― 処理面への接触を忌避させることで、吸血を防ぐ。

適切です。その理由は、ディートは殺虫剤ではなく忌避剤であり、蚊やダニなどの吸血性害虫が人の皮膚や処理面に近づいたり、接触したりするのを嫌がらせることで被害を防ぐ成分だからです。つまり、虫を殺して防ぐのではなく、寄せつけにくくすることによって吸血の機会を減らします。屋外活動時に皮膚や衣類へ使用されることが多く、予防的な対策として重要です。

参考になった数4

02

最も不適当なものは「昆虫成長制御剤(IGR剤)―― 幼虫にも
成虫にも効力を発揮する」です。

選択肢1. 有機リン剤        ――― ノックダウンした害虫は蘇生しにくい。

正しいです。
有機リン剤は殺虫力が高くノックダウンした虫はそのまま
死亡する可能性が高いです。
濃度上昇によりその傾向は強くなります。

選択肢2. ピレスロイド剤      ――― 直撃した時の速効性が高い。

正しいです。
ピレスロイド剤は速効性が高いですがノックダウンした虫が蘇生
することがあります。
魚毒性が高いため水槽や水辺での使用には注意が必要です。

選択肢3. 昆虫成長制御剤(IGR剤) ――― 幼虫にも成虫にも効力を発揮する。

誤りです。
昆虫成長制御剤は羽化を阻害することで殺虫するものです。
成虫には効果がありません。

選択肢4. プロフラニリド      ――― 殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効である。

正しいです。
プロフラニリドは有機リン剤やピレスロイド剤とは殺虫の原理が
異なるため抵抗性のあるトコジラミにも有効です。

選択肢5. ディート         ――― 処理面への接触を忌避させることで、吸血を防ぐ。

正しいです。
ディートは虫よけスプレーなどに使用されている表面忌避剤です。

まとめ

殺虫剤の種類と特徴を覚えておきましょう。

参考になった数1

03

この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。殺虫剤にはさまざまな種類があり、それぞれ作用機序が異なります。有機リン剤は神経のコリンエステラーゼを阻害することで致死効果を発揮し、ピレスロイド剤は神経を直接興奮・麻痺させる速効性が特徴です。

選択肢1. 有機リン剤        ――― ノックダウンした害虫は蘇生しにくい。

正しいです。
有機リン剤はコリンエステラーゼを強く阻害することで確実な致死効果をもたらします。

選択肢2. ピレスロイド剤      ――― 直撃した時の速効性が高い。

正しいです。
ピレスロイド剤は害虫に直撃すると微量でも素早くノックダウン効果を発揮します。

選択肢3. 昆虫成長制御剤(IGR剤) ――― 幼虫にも成虫にも効力を発揮する。

誤りです。
昆虫成長制御剤(IGR剤)は、脱皮や変態といった昆虫固有の成長プロセスを阻害することで効果を発揮します。すでに成虫になった個体はこれらの成長プロセスを必要としないため、IGR剤は成虫には作用しません。

選択肢4. プロフラニリド      ――― 殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効である。

正しいです。
プロフラニリドは従来のピレスロイド系殺虫剤とは異なる新しい作用機序をもつ殺虫成分です。

選択肢5. ディート         ――― 処理面への接触を忌避させることで、吸血を防ぐ。

正しいです。
ディートは皮膚や衣服に塗布して使用する忌避剤です。蚊などの吸血害虫が塗布した面(処理面)に近づくのを避けるため、吸血されにくくなります。

まとめ

IGR剤は「昆虫の成長を制御する薬剤」という名称から成虫にも効果があるように思えますが、「成長プロセスを阻害する」という仕組み上、成長が完了した成虫には効力を発揮しません。

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